「蓄電池の導入」で述べたように、蓄電池はまだまだ高価であり、経済的なメリットを考えると導入するには時期尚早と考えられます。
ところで、自分の身の周りに蓄電池があることに気が付きました。電気自動車(EV)です。これには、先に述べた蓄電池よりはるかに大きい容量の蓄電池が搭載されています。
EVを家庭の蓄電池として使うには、V2H(Vehicle to Home)というシステムを使います。
そこで、これを導入したらどうなるかについて、検討してみることにしました。
「蓄電池の導入」で述べたように、蓄電池はまだまだ高価であり、経済的なメリットを考えると導入するには時期尚早と考えられます。
ところで、自分の身の周りに蓄電池があることに気が付きました。電気自動車(EV)です。これには、先に述べた蓄電池よりはるかに大きい容量の蓄電池が搭載されています。
EVを家庭の蓄電池として使うには、V2H(Vehicle to Home)というシステムを使います。
そこで、これを導入したらどうなるかについて、検討してみることにしました。
1)V2Hとは
例えば、太陽光発電で得られた電気をEVに貯め、夜間や停電時にその電気を家庭に送るシステムです。もちろん、自動車を使用しながら使えます。
V2Hもいろいろなメーカーが販売していますが、N社のパワーステーションを対象にします。EVのディーラーを通じて見積もりを取ったところ、工事費を含めて約140万円(税込)ということでした。蓄電池の導入で述べた、7.4kWhと9.9kWhの蓄電池の本体価格のほぼ中間の価格です。工事費を含めると、こちらの方が安いのかなと期待を込めて、検討を進めます。
2)EV
用いるEVは、2016年に購入したリーフです。30kWのリチウム蓄電池を搭載しています。満タンで280km走るということでしたが、実際の走行ではその7掛け程度です。
購入後4年間は急速充電を使っていました。その後は、自宅で充電しています。当時はまだFIT期間中だったので、夜間電気(12円/kWh)を使っていました。しかし、2013年9月にFIT期間が終了し、売電単価が安くなったのと、夜間電気が大幅に値上げされた(30円/kWh)ので、現在は昼間の天気のいい日に充電しています。満充電で多いときは約200km走行できます。
すでに、8年が経過していますが、運転席にあるリチウムイオンバッテリー容量計を見ると、メモリ(外側の白と赤の□)が10個あります。新車の時は12個でした。まだ実効容量として、25kWくらいは残っていると推定されます。
3)シミュレーション
蓄電池の時と同様に、2024年3月1日~5月31日までの3か月間の1時間ごとのデータに基づき、検討を行いました。
EVの場合は、車としても利用しますから、残容量をゼロ、すなわちすべてを使ってしまうということはできません。そこで、30%、50%、60%分を残すという前提で検討を行いました。想定容量を25kWhとするとその30%は7.5kWhですので、これを残すと、25-7.5=17.5kWhが使えます。すなわち、17.5kWhの蓄電池に相当することになります。同様に、50%は12.5kWh、60%は10kWhの蓄電池に相当することになります。なお、参考までに0%(実効容量をすべて使う)の場合も一応検討しています。
4)シミュレーション結果
蓄電池の時と同様に、HEMSのデータを用いて1時間ごとの購入電量量、蓄電量、売電力量を計算しました。自家消費量は蓄電池のときと同じです。
なお、1日の経時変化のグラフは、蓄電池のときと同様の傾向なので、ここでは省略します。
表6に、残容量ごとの結果を示します。数字は違いますが、傾向は蓄電池と同じで、残容量の小さいすなわち使える容量が大きいほど、蓄電量が増え、購入電力量や売電量は減っていきます。
5)V2Hを導入するメリットはあるか?
表7に、蓄電量を0円として計算した場合のメリットを示します。
残容量を60%とした場合は10kWhの容量が使えますので、9.9kWhの蓄電池よりは多少早く回収できそうです。
ちなみに、蓄電量を売電単価とみなした時の投資回収期間は、60%の場合が65年で、0%の場合は52年でした。
蓄電池には国や県などから補助金が出ますが、V2Hにも出るようです。それを考慮すると、100万円前後で導入できそうです。その分、回収期間も少しは短くなるでしょう。
ところで、EVは車ですから、車としての寿命があります。ただ、車としての寿命が終わったとしても蓄電池としては、まだ使えるということもありえます。新しいEVを買うということも考えられますが、廃車して、蓄電池のみを使うということも選択できます。幸い、駐車場は自分の土地なので、そのまま置いておくということも可能です。これからはEVがどんどん普及していけば、次の世代もEVを購入することも考えられます。
6)結論
以上のような結果になりましたが、実際にはどうなのかということに大いに興味があります。停電に備えるというメリットもあることなので、とりあえずV2Hを導入してみることにしました。補助金との関係で工事は数カ月先になるとのことです。
実際の工事や、使用経過については逐次掲載していきたいと考えています。ご期待ください。