1)太陽光で得られた電力量
まず、太陽光発電でどれくらいの電気が得られたのかを調べます。
表1から分かるように、太陽光発電で得られた電気の10年間の合計は、62,607kWh です。
2)売電力量
次に、売電量を求めます。太陽光発電で得られた電気は、まず自分の家で消費します(自家消費)。自家消費で余った分、いわゆる余剰電気を電力会社に売ります(売電)。売電した量は、10年間で47,970kWhです。2013年当時のFIT売電価格は1kWhあたり38円(税込)でした。10年間同じ価格です。したがって、売電で得られた収益は、1,822,860円ということになります。
3)購入電力量
夜間や天候が悪いときは、太陽光発電で得られた電気はゼロか、それに近い電気量しか得られません。そういうときは、電力会社から電気を購入することになります。購入した電気の合計量は、37,277kWhです。これはいくらになるのでしょうか。
電気料金は複雑です。通常は使用量に応じて3段階に分かれていて、使用量が多いほど単価が高くなっています。契約していた料金プランは、夜間料金(21時~5時)が安い代わりに、昼間は割高に設定されていました。このプランを選定したのはもちろん太陽光発電を導入したからです。
昼間と夜間の使用量の割合を10年間で平均すると43:57となりました。これに基づいて平均単価を求めると、昼間は27.6円/kWh、夜間は13.7円/kWhでした。したがって、10年間の購入電気代は以下のように計算できます。
37277×(0.43×27.6+0.57×13.7)=733,499円、約733,500円となります。なお、ここでは従量料金のみで計算し、基本料、燃料調整額や再エネ賦課金などは含んでいません。
4)自家消費量
家庭用の太陽光発電(10kW 以下)のFIT制度では、全量を売電することはできません。まず自家で消費して余った分(余剰量)を売電するというのが前提です。表1から自家消費量は10年間で14,637kWhでした。自家で消費できるのは昼間だけですので、これに昼間料金(27.6円/kWh)を掛けると、約403,980円となります。太陽光発電を導入することで、この金額を電力会社に払わずに済んだということになります。
5)経済性の計算
以上を総合すると、太陽光発電を導入したことによって、売電収益+自家消費分=2,226,840円(税込)のメリットがあったということになります。一方、太陽光発電の導入価格は2,415,000円(税込)でした。この時は、国や県・市から合計273,400円の補助がありました。このおかげで収支は実質約8.5万円プラスとなり、この10年で投資額を回収することができました。